日々とりとめなく思うことをメモするための、備忘録。
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人の子が風邪を引くことがあるように、魔族だって病気になる事もある。
「あ、風邪だね」
開口一番。フライスは思わず目をパチパチと二度瞬かせた。
ちょっと咳き込んで、鼻をすすりながら、書庫の整理をしていたときである。ふらりと訪れた城の主が、こちらを見るなり口にした。
……カゼ? 風と言われても、
「うん、その風じゃないよ」
「じゃ、何ですかカゼって」
「あれ、フライス一度も病気に罹ったこと、なかったっけ?」
「びょう、き……」
え、病気? 自分が? フライスの顔から血の気が引いていく。
湖から生まれた高位の魔族であるフライスは、魔族の中では魔王同様に若輩者だった。だが人の時の流れで言うなら3ケタの歳は生きている。だが、
「病気って、あれです? ニンゲンが時々異常に体温が高くなったり、泡吹いたり血を吐いたりして、しかも急に村や街の者すべてが同じような症状を発生したりして、時には死んでしまうあれ?」
「そうそれ」
「……」
もはや血の気が引き過ぎて、顔が土色になりかけている。見開かれた目が揺れてる。本人は気づいていないのだが、身体もカタカタ震えてる。
きっと頭の中は、にわかに差し迫った(と思い込んでいる)死でいっぱいなのだろう。
人の子が病気で死ぬことがあるように、魔族だって病気で死ぬこともある。間違いでは無い。
でも風邪である。
そりゃもちろん、風邪を侮ってはいけない。が、フライスの様子を見る限り、まだ軽症といっていい。
わーおもしろーい。普段小言ばかり言ってくる部下が、びびってるー。
……なんて口にはせず、魔王ケイオスはにっこり笑った。
「薬飲んだら治るよ」
「……へ?」
「多分、ルディが持ってる」
「だったらそれを!」
「うん、ボクさっき君に出禁喰らったばっかだよね」
まあ実際、諸々と溜まってるシゴトがあるから、しばらくは動けないよ。
にっこりをさらに深めてケイオスが言えば、フライスの表情は一層固まり、身体の揺れが大きくなった。目の中がぐるぐるしている。わーおもしろーい。
「死……死ぬ……わたし、が……」
「いやだからルディの調合した薬飲んだら治るって」
「もう何十代にも渡り魔王様にお仕えしてきた一族である、この、私が……こ、こんな……頼りないままの魔王様を残して……」
「……あー……頼りないのは確かだけど……てか聞いてフライス」
「あああああああああ!!」
いやだ! 死にたくない!
だって俺まだ恋人も作ってない! 隣の森のドリアードに告白すらできてないっ!!
そのうち子ども作って力つけてもっと伸し上がって下剋上もしくは傀儡政権とかも、できてない!!
悲痛な叫びが書庫上にこだまする。魔本の類がその声に目を覚まして、本棚から落ちたり飛んだり、ちょっと面倒なことになっている。
だがどうせその整理も彼の仕事なのだ。自業自得。それよりちょっと聞き捨てならない言葉を叫んでいた気がすることの方が、ケイオス的には気になるのだが。
「じゃあさ。君が自分で、ルディからもらっておいでよ」
(疲れたので一旦切る)
「あ、風邪だね」
開口一番。フライスは思わず目をパチパチと二度瞬かせた。
ちょっと咳き込んで、鼻をすすりながら、書庫の整理をしていたときである。ふらりと訪れた城の主が、こちらを見るなり口にした。
……カゼ? 風と言われても、
「うん、その風じゃないよ」
「じゃ、何ですかカゼって」
「あれ、フライス一度も病気に罹ったこと、なかったっけ?」
「びょう、き……」
え、病気? 自分が? フライスの顔から血の気が引いていく。
湖から生まれた高位の魔族であるフライスは、魔族の中では魔王同様に若輩者だった。だが人の時の流れで言うなら3ケタの歳は生きている。だが、
「病気って、あれです? ニンゲンが時々異常に体温が高くなったり、泡吹いたり血を吐いたりして、しかも急に村や街の者すべてが同じような症状を発生したりして、時には死んでしまうあれ?」
「そうそれ」
「……」
もはや血の気が引き過ぎて、顔が土色になりかけている。見開かれた目が揺れてる。本人は気づいていないのだが、身体もカタカタ震えてる。
きっと頭の中は、にわかに差し迫った(と思い込んでいる)死でいっぱいなのだろう。
人の子が病気で死ぬことがあるように、魔族だって病気で死ぬこともある。間違いでは無い。
でも風邪である。
そりゃもちろん、風邪を侮ってはいけない。が、フライスの様子を見る限り、まだ軽症といっていい。
わーおもしろーい。普段小言ばかり言ってくる部下が、びびってるー。
……なんて口にはせず、魔王ケイオスはにっこり笑った。
「薬飲んだら治るよ」
「……へ?」
「多分、ルディが持ってる」
「だったらそれを!」
「うん、ボクさっき君に出禁喰らったばっかだよね」
まあ実際、諸々と溜まってるシゴトがあるから、しばらくは動けないよ。
にっこりをさらに深めてケイオスが言えば、フライスの表情は一層固まり、身体の揺れが大きくなった。目の中がぐるぐるしている。わーおもしろーい。
「死……死ぬ……わたし、が……」
「いやだからルディの調合した薬飲んだら治るって」
「もう何十代にも渡り魔王様にお仕えしてきた一族である、この、私が……こ、こんな……頼りないままの魔王様を残して……」
「……あー……頼りないのは確かだけど……てか聞いてフライス」
「あああああああああ!!」
いやだ! 死にたくない!
だって俺まだ恋人も作ってない! 隣の森のドリアードに告白すらできてないっ!!
そのうち子ども作って力つけてもっと伸し上がって下剋上もしくは傀儡政権とかも、できてない!!
悲痛な叫びが書庫上にこだまする。魔本の類がその声に目を覚まして、本棚から落ちたり飛んだり、ちょっと面倒なことになっている。
だがどうせその整理も彼の仕事なのだ。自業自得。それよりちょっと聞き捨てならない言葉を叫んでいた気がすることの方が、ケイオス的には気になるのだが。
「じゃあさ。君が自分で、ルディからもらっておいでよ」
(疲れたので一旦切る)
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