日々とりとめなく思うことをメモするための、備忘録。
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知らない場所のはずなのに、どこか懐かしい気がして立ち止まる。街から離れた郊外、人気はないが小奇麗な古民家の前だった。
電車で眠っていて、うっかり乗り過ごしたときのことだ。仕事の繁忙期がようやく明けて、久しぶりに三日続けて有休を取ったので、前日は夜遅くまでゲームをしたり、溜まっていたアニメの録画を見たりしたのだった。
その日は少し離れた街で映画を見ようと思っていたのだが、あまりにもポカポカと暖かい陽気だったのがいけない。
割と空いた車内、窓際のボックス席、駅の売店で買った暖かいペットボトルの茶。そしてガタゴトと心地よい振動。
寝ないわけが無かった。しかし、目的の駅で起きれないとは思わなかった。学生の頃に利用して、乗り慣れた路線と目的駅だ。普段なら自然と、二駅前で目を覚ましていた。
「やっちゃったなぁ」
目が覚めてみれば、車窓には見知らぬ風景。車内のアナウンスによれば、次が終点らしかった。いつの間にか乗客もさらに減っていた。
仕方ない。ひとまず降りて、すぐに折り返しの列車に乗ろう。そう思ったのだが、既に減速していた列車の窓から、ふと一瞬だけ目についた窓の外の光景を無視できなかった。
別に、何も変わったところの無い田舎の風景だった……。
はずだ。
なのにどういうわけだか列車を降りた自分の足は、折り返し列車が既に停まっている向かい側のホームには向かわなかった。気づけば改札を出て、先ほど車窓から眺めた景色を辿って歩いていた。
別に観光地になるような古い町並み、というわけではない。といって新しい建物が多いわけでは無い。少し道幅の狭い、いわゆる普通の住宅地だ。多分、地元の子どもたちの通学路になるような。
生活音が至る所で聞こえる。ちょうどおやつの時間で、どこかでホットケーキでも焼いたのか甘い香りがしてきた――ああ、そういえば空腹だった。
車だって時々走ってる。そこにあるのはただの日常でしかない。きっとそこに生きてる人たちには当然の、平凡な、ともすれば退屈な風景のはずだ。
こうしてよそから来た自分が歩いていても、特に浮ついた気分にもならない道。時間の無駄だ、さっさと引き返して目的を果たして帰ろう。
頭ではそう思うのに、脚は全く止まらないのだから困ったものだった。勝手に動いてる、という感じでも無い。惰性だろう。赤信号とか、きっかけが無ければ止まれない。
こういうときに限って、小さな交差点の信号は大体が青だったりする。速くも無く遅くも無い足取りは淡々と拍を刻んで、気がつけば先ほど車内から見た田舎道を歩いていた。
住宅地から少し逸れただけなのに、山に隣しているからか印象がずいぶんと違う。空気は少し冷たく、木の葉が風に揺れる音がやけに耳についた。家屋の数も減った。
さて、一体何が気になったんだったか。緩む気配の無い足に任せて歩き続けて、ぴたりとその足が止まったのが、冒頭の古民家の前である。
今は人が住んでいないらしい。庭木が伸び放題だ。だが廃屋というほどに朽ちていない。誰かが定期的に手を入れてるのかも知れない。
勝手に入るのはよくない、と思いつつ、周囲に誰もいないことを確認して、そっと敷地内に踏み入った。
ああ、落ち葉が多い(きっとかつて、掃き清めてくれる誰かがいた)。
雑草も伸び放題だ(引き抜いてくれる人は、今はいない)。
窓ガラスも汚れきっている(磨くのが好きだったあの人を思い出す)。
破れた障子には、ところどころ猫の裂いたような跡もある(可愛がってもらっていた)。
米と汁の炊ける香り。子どもが走る足音。それを注意する誰かの声と楽しげに弾む返事。いいことばかりではない。悩みに震える声、悲しみに笑う声。夏の庭に落ちた線香花火、冬の冷たい木の廊下。
そんなもの今あるはずがない。 幻に過ぎないのは分かっている。
けど、その幻はただの自分の妄想なのか。それとも、かつてあったことなのか。
それとも、これから起こることなのか。
「不審者発見!」
急に背中から声をかけられて、思わず肩が跳ねた。慌てて振り返れば、
「あんた、ここに何か用?」
何時の間に現れたのか、黒い髪の青年が敷地の外からこちらをじっと眺めていた。
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集中力が無いので切る。気が向いたら少しずつ追記。
電車で眠っていて、うっかり乗り過ごしたときのことだ。仕事の繁忙期がようやく明けて、久しぶりに三日続けて有休を取ったので、前日は夜遅くまでゲームをしたり、溜まっていたアニメの録画を見たりしたのだった。
その日は少し離れた街で映画を見ようと思っていたのだが、あまりにもポカポカと暖かい陽気だったのがいけない。
割と空いた車内、窓際のボックス席、駅の売店で買った暖かいペットボトルの茶。そしてガタゴトと心地よい振動。
寝ないわけが無かった。しかし、目的の駅で起きれないとは思わなかった。学生の頃に利用して、乗り慣れた路線と目的駅だ。普段なら自然と、二駅前で目を覚ましていた。
「やっちゃったなぁ」
目が覚めてみれば、車窓には見知らぬ風景。車内のアナウンスによれば、次が終点らしかった。いつの間にか乗客もさらに減っていた。
仕方ない。ひとまず降りて、すぐに折り返しの列車に乗ろう。そう思ったのだが、既に減速していた列車の窓から、ふと一瞬だけ目についた窓の外の光景を無視できなかった。
別に、何も変わったところの無い田舎の風景だった……。
はずだ。
なのにどういうわけだか列車を降りた自分の足は、折り返し列車が既に停まっている向かい側のホームには向かわなかった。気づけば改札を出て、先ほど車窓から眺めた景色を辿って歩いていた。
別に観光地になるような古い町並み、というわけではない。といって新しい建物が多いわけでは無い。少し道幅の狭い、いわゆる普通の住宅地だ。多分、地元の子どもたちの通学路になるような。
生活音が至る所で聞こえる。ちょうどおやつの時間で、どこかでホットケーキでも焼いたのか甘い香りがしてきた――ああ、そういえば空腹だった。
車だって時々走ってる。そこにあるのはただの日常でしかない。きっとそこに生きてる人たちには当然の、平凡な、ともすれば退屈な風景のはずだ。
こうしてよそから来た自分が歩いていても、特に浮ついた気分にもならない道。時間の無駄だ、さっさと引き返して目的を果たして帰ろう。
頭ではそう思うのに、脚は全く止まらないのだから困ったものだった。勝手に動いてる、という感じでも無い。惰性だろう。赤信号とか、きっかけが無ければ止まれない。
こういうときに限って、小さな交差点の信号は大体が青だったりする。速くも無く遅くも無い足取りは淡々と拍を刻んで、気がつけば先ほど車内から見た田舎道を歩いていた。
住宅地から少し逸れただけなのに、山に隣しているからか印象がずいぶんと違う。空気は少し冷たく、木の葉が風に揺れる音がやけに耳についた。家屋の数も減った。
さて、一体何が気になったんだったか。緩む気配の無い足に任せて歩き続けて、ぴたりとその足が止まったのが、冒頭の古民家の前である。
今は人が住んでいないらしい。庭木が伸び放題だ。だが廃屋というほどに朽ちていない。誰かが定期的に手を入れてるのかも知れない。
勝手に入るのはよくない、と思いつつ、周囲に誰もいないことを確認して、そっと敷地内に踏み入った。
ああ、落ち葉が多い(きっとかつて、掃き清めてくれる誰かがいた)。
雑草も伸び放題だ(引き抜いてくれる人は、今はいない)。
窓ガラスも汚れきっている(磨くのが好きだったあの人を思い出す)。
破れた障子には、ところどころ猫の裂いたような跡もある(可愛がってもらっていた)。
米と汁の炊ける香り。子どもが走る足音。それを注意する誰かの声と楽しげに弾む返事。いいことばかりではない。悩みに震える声、悲しみに笑う声。夏の庭に落ちた線香花火、冬の冷たい木の廊下。
そんなもの今あるはずがない。 幻に過ぎないのは分かっている。
けど、その幻はただの自分の妄想なのか。それとも、かつてあったことなのか。
それとも、これから起こることなのか。
「不審者発見!」
急に背中から声をかけられて、思わず肩が跳ねた。慌てて振り返れば、
「あんた、ここに何か用?」
何時の間に現れたのか、黒い髪の青年が敷地の外からこちらをじっと眺めていた。
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集中力が無いので切る。気が向いたら少しずつ追記。
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